2010年5月23日日曜日

グルメな江戸っ子の人気メニュー ~天麩羅編~

昨日、味の素食の食の文化ライブラリーの
公開講座へ行って来ました。

お題は・・・

錦絵に見る江戸の食文化

「グルメな江戸っ子の人気メニュー ①天麩羅」


内容は・・・

はじめに
徳川家康天麩羅中毒死は本当か?!とういうお話から
「東照宮御実記附録」より
「鯛をかやの油にてあげ、そが上に韮をすりかけたものを食べてその夜に腹痛を起こした」
これが体調を崩す引き金になり3ヶ月後に亡くなったのでは??と
推測される事や他にも「武徳編年集成」や「元和年録」に書かれている内容に
油で揚げた鯛を食して腹痛を起こしたと書かれている事から
家康天麩羅中毒死はまんざらではないかも・・・という事でした。


本題

●江戸風と上方風の天麩羅の違い

「守貞謾稿」(今の百科事典のようなもの)によると
京都や大阪ではさつま揚げの事をてんぷらと言い、
江戸では小麦粉を練って衣として揚げたものをてんぷらという。
京都や大阪ではこれをつけあげと言っている。

江戸風てんぷらは18世紀中頃には出現していた。


●天麩羅屋台

江戸時代の天麩羅は庶民の食べもので、屋台からスタートした。
数枚の錦絵に、屋台で天麩羅のようなもを売っている様子が分かった。
1枚の錦絵には手ぬぐいを頭から覆って腰に刀をさした男性が
屋台でてんぷらを買っている様子が見られた。

講師の飯野亮一先生の解説によると、
細民相手の安価なファーストフードで、武士が堂々と買いに行けないから
顔が見えないようにして、こっそり買って食べていたらしい。

天麩羅は人目を憚ってまで食べたいものだったんですね~(笑)


●江戸っ子が好んだ天麩羅と蕎麦

屋台の天麩羅は庶民に大人気で、錦絵に蕎麦を売る屋台と天麩羅屋台が
隣同士に並んでいて、沢山の人が買いに来ている様子が分かった。

今では天麩羅蕎麦は当たり前だけど、江戸時代に
蕎麦屋の屋台でかけそばを買い、そのまま隣で天麩羅を買って
蕎麦の上にのせて食べるとうスタイルが大人気となって、
さらに天麩羅の人気が高まったのだそうです。


●金麩羅(きんぷら)と天麩羅

庶民に大人気となった屋台の天麩羅を料理屋で出す際、
同じ物を出すわけには行かなかった。
(天麩羅は庶民の安い食べ物だったから)
そこで、天麩羅との差をつけるために、高級な食材を使って
当時は高級食材だった「卵」を衣に加えて「金麩羅」として
料理屋でも出されるようになった。
もちろん屋台の天麩羅に卵は入っていない。

金麩羅は衣に卵の黄身が入って、黄金色だった。

そして、違いはもうひとつ

屋台では天麩羅は串に刺さっていて、壺に入った天つゆにボチャッとつける。
(今でも関西ではよくあるスタイルの、串カツのソース二度付け禁止!!)


料理屋では串に刺す必要がなく、錦絵に遊女が金色の金麩羅を
箸で食べる様子が見られる。


(最後の質疑応答の時、質問させて頂きました)

Q 現在の天麩羅は卵を入れた衣で揚げる「金麩羅」なのに、
  どうして「金麩羅」とう名前ではなく「天麩羅」という名前が残ったのか。。。

A 卵が段々高級食材ではなくなり、天麩羅にも卵を入れるようになった。
  そうなると「天麩羅」と「金麩羅」の差がなくなって天麩羅と言うようになった。


ちなみに・・・

現在でも「金麩羅」として出しているお店があるそうです。



●天麩羅専門店と天丼


江戸時代にお店で出された「金麩羅」は専門店ではなく、
会席料理屋、お茶漬け屋、料理屋さんのサイドメニューだった。

天丼は明治10年(1877年)頃に売り出され
東京風俗志(明治34年)に天麩羅御膳の紹介がある事から
この頃に専門店があった事が伺える。



昨日の講座は本当におもしろかったです。
ブログに書いた内容は講座の中の一部で、約2時間
あっという間に過ぎてしまいました!!

そして会場に江戸料理の重鎮も来られていて、
講座修了後にまたまた貴重なお話を聞かせてもらいました。

金麩羅はソバ粉を使ってごま油で揚げたものだったから
真っ黒だったのよ~。
卵を入れて金色になったのは後の話。

なのだそうです。

さらに、その場にいた重鎮のお弟子さんと
屋台で天麩羅を出そうと思ったら、当時の貨幣価値で何本揚げたら
採算が合うのか、また油の種類などの話で大盛り上がりでした(笑)


次回は6月の蒲焼き編です!!

本当に楽しみ!!!

2010年5月7日金曜日

乾物

昨日は「乾物の水戻し重量」の実験のレポートを
やっていて寝不足。。。。

そもそもスタートが22時だから仕方がないんだけど。

江戸時代では野菜や魚の乾物は
魚が捕れない時期や冬場の野菜が収穫できない時期には
貴重な食材でした。


飽食の現代と違って江戸時代の乾物は
「宝物」なんかで済まされない生きていく為に必要な食材だったことでしょう。

ちなみに、有機農家の阿部さんちでは
去年大根が一気に採れすぎた時、網戸に並べて切り干し大根を作ってました。
今年は寒い日が続いたせいで野菜が育たず、出荷量が激減だったので
夏に干した大根が貴重な収入源になっているようです。



「干し大根」
江戸時代の料理書の中で一番多く利用されている乾物野菜のようです。

乾物は水戻し時間が必要で、忙しい現代っ子にはウケないかもしれない。

学校の実験では「どんこ椎茸」は1時間水につけても
まだ硬かったし。。。。

だけど・・・・

切らない
むかない
下処理いらず

を考えると、逆に忙しい現代っ子や、切り物が苦手な私にはぴったりかも


と思うと早速試作してみる事に!!

材料

ひじき    10g
干し椎茸   12g
切り干し大根 15g
水      1.5L
豚肉細切れ  100g
カレールー  4かけ

作り方

1. ひじき、干し椎茸、切り干し大根、水を鍋に全部入れて火にかける。
   水戻ししない!
2. 沸騰したら弱火にして10分煮る
3. 豚肉を入れて一煮立ちしたらカレールーを入れて完成!!





作った感想

切らない、むかない、下処理無し(細切れ肉を使うので肉も切らない)
なので、簡単時短で鍋一つで出来て調理時の洗い物も無し!!
ただし、鍋に入れる前に乾物は軽く洗いました。
鍋に材料を入れたら放ったらかしでいいので、本当に楽ちんでした。


食べた感想

乾物からいいお出しがたっぷり出るので
和風カレーでとってもおいしい!!
だしが出る分、ルーを少なくできてヘルシー


改善点

しいたけはとっても大きくなるので、手でポキポキ折ってから使うと良い。
しいたけの石突きはとりましょう!


カレーがうまくいったので・・・・

豆腐にかけてみたんです。。



残念な味でした。。。。